小さな鍵穴

暗い箱の小さな鍵穴、明るい部屋

私にとっては、「写真家」を代表する器官は、眼ではなく(眼は私を恐怖させる)、指である。つまり、カメラのシャッター音や乾板をすべらせる金属音(写真機にまだ乾板が使われているなら)と結びつくものである。私はそうした機械音にほとんど官能的な愛着を感ずる。「写真」に関するもののなかで、それらの音は、まさしく私の欲望が固執するもの ―それも唯一のものであり、その短い衝撃音によって、死をもたらす「ポーズ」の連続を断ち切るのである。

『明るい部屋』 ロラン・バルト

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