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  • 嘘つきアーニャの真っ赤な真実

    「ヤースナも亡命を考えることがあるの?」
    ヤースナは頷いた。
    「でも、私にはボスニア・ムスリムという自覚はまったく欠如しているの。じぶんは、ユーゴスラビア人だと思うことはあってもね。ユーゴスラビア人を愛しているというよりも愛着がある。国家としてではなくて、たくさんの友人、知人、隣人がいるでしょう。その人たちと一緒に築いている日常があるでしょう。国を捨てようと思うたびに、それを捨てられないと思うの」
    「ねえ、ヤースナ、カレメグダンの公園て、ここから近いんだよねえ」
    「うん、行こう」

    嘘つきアーニャの真っ赤な真実/米原万理

    冷戦時代のプラハのソビエト学校で小・中学生時代を一緒に過ごしたギリシア人のリッツァ、ルーマニア人のアーニャ、ユーゴスラビア人のヤスミンカ(=ヤースナ)を翻訳家でロシア文学者の米原万理が訪ねる。

    各国の共産党員や政府の重要なポストについている親の影響か、こどもながらに共産主義の理想への陶酔も反発も故郷への郷愁もそれぞれに強く感じていた彼女らが、子供を持つ大人になり、ソ連=東欧が崩壊していく中どう変わったのか、あるいは変わらなかったのか。

    ビクトル・エリセの「エル・スール」で、盲目的に愛していた父親に知らない女性の影があるのを知ってしまった主人公の少女が、その女性の存在をきっかけに大人になっていくように、こどもの頃知らなかった共産主義の理想に隠れた一般人の生活の様子や、自分と自分の家族の生活のリアリティの中で国家、民族、家族への思いは変化していった。

    (さらに…)

  • アンダーグラウンドの動物園

    Zoo-Yu1 Zoo-Yu2

    Zoo-Yu0ЗОО BPT БЕОГРАД。動物園。何故ベオグラードまで来て短い滞在時間を動物園で使う?大体動物園というのはどこでも世界中の動物を集めているので、それが上野であっても多摩であってもベルリンであってもベルリンであってもたいして違わない。では何故?

    ここはエミール・クストリッツァの「アンダーグラウンド」に出てくる動物園だからだ。それならどうしても見なくてはいけない。まあ実際は時代設定も違うし自分のいい加減な記憶では覚えてるような、覚えてないような、というのが正直なところなんだけど。帰国したらもう一度DVDで確認したい。

    とにかく動物園は楽しかった。和んだ。日本の動物園では犬はあまり見ないが、こっちでは何種類か見られた。狼の寝ている姿なんて犬と全く変わらない。

  • セルビア、ベオグラードへ

    サラエボ市の外れ、セルビア人共和国側のバスターミナルからバスで8時間、セルビア・モンテネグロのベオグラードへやってきた。旧ユーゴスラビアの中心都市である。

    西の外れを出発したバスはサラエボ市内の南側の山を進み、見慣れたサラエボを俯瞰で見せてくれた。出発時は雨に振られたが、山の上に行くに従って気持ちのいい天気になり、視界もぐっと開けてくる。途中いかにも「ライフ イズ ミラクル」に出てきそうな集落を通りながら、だんだん国境へ。家畜を見ていると牛、羊、山羊に混じって豚が見えることに、セルビア側へ来ているのだという実感を覚える(ムスリムにとって豚は不浄なのでサラエボで豚、豚肉を目にすることはまずない)。

    Beograd

    なぜ、ベオグラードへやってきたかというと、なんとなく自分の中でのバランスをとりたかったからだ。サラエボのムスリムとベオグラードのセルビアと。

    到着したベオグラードはサラエボよりもずっと大都市だった。

  • セルビア首相暗殺めぐる裁判始まる

    YOMIURI ON-LINE / 国際

    セルビア首相暗殺めぐる裁判始まる

    昨年3月、セルビア共和国の首都ベオグラード市内で起きたゾラン・ジンジッチ首相(当時)暗殺事件をめぐる裁判が昨年12月から、同市内の特別法廷で始まった。政府転覆を謀った「クーデター」の可能性が指摘される中、実行犯とされる秘密警察やマフィア型犯罪組織網の実態を解明し、その実行犯を陰で操った政界の黒幕を暴くことができるのか、「セルビア史上最大の裁判」(クライエビッチ裁判長)はその司法の力が問われている。(ベオグラードで、島崎 雅夫)

     セルビア・モンテネグロで起きた、ジンジッチ首相暗殺に現在オランダ・ハーグの旧ユーゴ国際戦犯法廷にいるミロシェビッチ直属のレッド・ベレーの関与が明らかになってきた。
     2003/12/28開票の選挙にてミロシェビッチは公判中でありながら当選を果たしている。

    < この記事は以前"Web of Activities"に書いたものです。 >