アキ・カウリスマキ監督『過去のない男 mies vailla menneisyytta』。にやっとできるし、なんかちょっとだけいい気分になって映画館を出た。イルマ役の女優カティ・オウティネンの無表情振りがすごい。全てがわざとらしいハリウッド俳優達とは正反対のものだ。『浮雲』の、苦しい状況の中でも強くわずかな希望を捨てないで頑張っている姿とはまた違う。どっちも表情がほとんど変わらないのは一緒だけど。ただ、カティ・オウティネンとしては『浮雲』のほうが好き。カンヌでの受賞も今回の分だけでなく、前から続く彼女の功績に対しての意味も多分に含まれているのだろう。そして、主演の過去のない男マルック・ペルトラ。いい俳優だね。『浮雲』にも出てたんだ。そして忘れてならないのが、ハンニバル。猛犬ぶりがかわいかった。
それにしても、ヘルシンキはかなり深刻な経済状況みたい。そういえば、ジム・ジャームッシュ監督の『ナイト・オン・ザ・プラネット』でもそういうふうだったな。職のない浮浪者達の様子は、いつも上野公園で見ているだけに日本とフィンランドとを比較してしまった。日本のホームレス達も結構頑張っているけれど、身なりに対しての見栄とか、格好だけでもちゃんとしようとか、清潔さではフィンランドとかなりの隔たりがある。映画だからというのもあるだろうけど、フィンランドの彼らのほうが陽気でポジティブな印象を受けた。

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