携帯電話と映画、コミュニケーション


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映像作品上映とアーティスト・トークの紹介。

パリ発:ケータイ電話で撮影された映画作品フェスティバル

ポケット・フィルム・フェスティバルとは、さまざまな映像イベントをオーガナイズしているパリのForum des images (映像フォーラム)主催の映画祭で、2005年から開催されています。仏携帯電話会社SFRをスポンサーに、高画質・長時間でムービーが録画・再生できる「3G(第三世代)」の携帯電話を無料で貸し出し、著名なアーティストから一般の人々、学生、未来の映画作家から作品を募っています。

大学院 映像研究科|Festival Pocket Film from Paris

3G携帯搭載ムービー機能の、表現ツールとしての可能性は果たして?

仏日刊紙「リベラシオン」は、「ケータイがもはや単なるおもちゃとしてだけではなく、映画のクリエイションの潜在的なツールとして見なされている兆しだろうか?」と述べています。しかし、それは8mmからDVまで、手軽に撮影できるツールが登場するたびに繰り返されてきた「楽観的」(あるいは商業的)ディスクールであり、大部分の人々はホームムービーの撮影で満足しているのが現実です。そもそも、カメラに加え、高度な通信機能を備えた携帯電話を、古典的な意味での映画作りに限定して考える必要はあるのでしょうか? 

同じく 大学院 映像研究科|Festival Pocket Film from Paris

携帯電話搭載のカメラをうまく利用したアートの作品としては、東京都写真美術館の「私のいる場所-新進作家展vol.4 ゼロ年代の写真論」でのSECOND PLANETの対になった作品 "TOKYO / PRAGUE", "PRAGUE / TOKYO" を思い出します。こちらはメディアによって変化する精神的/身体的な距離と想像力を扱ったもので、展覧会の中でも特に印象に残るものでした(SECOND PLANET のサイトにてFLASHムービーで見ることが出来ます)。

KTF-LG実は僕も一昨年、韓国での「日韓友情年2005 日韓芸術交流展 -ssugoremigi-」でのプロジェクト "MPXMP" を担当していて(東大の川原さんにはお世話になりました)、そこでは携帯電話をビジュアルでのコミュニケーションのためのツールとして利用し、そこから新しい映像表現の文法を探ることをテーマに、ブログ+携帯で撮影した動画の連続と編集を扱っていました。結局そのプロジェクトは会場であったソウルCOEX以外ではちゃんとした形で発表できなかったのですが、少しだけそのときのブログとシンポジウムでのテキストが残っているのでリンク。

この時は相当にいっぱいいっぱいで韓国に入るまで自分個人の作品も完成してないくらい。そのせいというわけではないけれど、この "MPXMP" がきちんと記録に残っていないのが残念。Youtubeもまだないし、ブログに動画を貼ることさえまだ珍しかったので、ブログのシステム+XML+FLASH+携帯を使うアイデアというのは当時としてはなかなか新しかったはず。ちなみにそのときに一番苦労したのは韓国携帯の動画のファイル形式の変換でした。

こういうものはテクノロジーの進歩と公開、インフラのチープ革命などで形にしきれなかったアイデアはどうしても埋もれてしまうけれど、本当にアイデアとコンテンツ自体に魅力があれば、色褪せることはないと思う。"MPXMP"がいいテンションのまま続けられずに断絶してしまったのは、僕が韓国から帰ってからサラエボそしてあちこちぶらぶらと一ヶ月半ほど行ってしまったからであって、それはちょっと今でも心残りだったする。携帯電話に縛られていたからこそ、携帯電話から解放された生活が作品にも自分自身にも重要だったというのもまた皮肉なもの。

進化したコミュニケーション+撮影・録画ツールとしての携帯電話で、メディアとひと、モノの関係に新たな「面白さ」を創造することはできないのでしょうか?

大学院 映像研究科|Festival Pocket Film from Paris

というわけで、ジャン=シャルル・フィトゥスィのアーティスト・トークと作品上映を楽しみにしたいと思います。

Festival Pocket Film from Paris
2007/1/21 16:00~19:30
東京芸術大学大学院映像研究科 馬車道校舎 大視聴覚室
http://www.fnm.geidai.ac.jp/fpf/

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