REAL TOKYOから黒澤ライカさんのスーザン・ソンタグ講演のレポートを少し。以下はそこからの引用。
from New York スーザン・ソンタグが選ぶ「何度でも見たい日本映画8本」
文:黒澤ライカ
~
こうした内的ジレンマを静かな語り口で鋭く描いた映画は、最近の日本映画には残念ながら少なく、数点のアニメーション映画を除いて、日本映画は自分の心に届いてくるものではなくなった、と嘆いてみせもした。
~ 中略 ~
ソンタグは、新しい映画もちゃんと見ていると前置きしたうえで、自分のように古い映画を繰り返し見るのは単純にこの時代の映画の方が優れていると思うからであり、決してノスタルジアではない、と自己弁護した。そのうえで、しかしもしかしたら、こうした行為は今の映画を見捨てていることになるのではないか、との疑問を観客に提起し、自分自身もこの疑問に対して答えを見つけていない、と付け加えて講演を終えた。 このシリーズで上映される映画は以下の通り。
溝口健二監督『祇園の姉妹』(1936)
黒澤明『わが青春に悔いなし』(1946)
吉村公三郎『安城家の舞踏会』(1947)
五所平之助『煙突の見える場所』(1957)
木下恵介『二十四の瞳』(1954)
成瀬巳喜男『浮雲』(1955)
大島渚『絞死刑』(1968)
原一男『ゆきゆきて、神軍』(1987)
僕は積極的に映画を見るほうではなく、上に挙がっている映画も一本としてちゃんと見ていない(二十四の瞳は見たかも...)。この間、『Bowling for Columbine』を見たのだけれど、それはかなり考えさせられることがあった。そして、監督のマイケル・ムーアは好きな日本映画として、『ゆきゆきて、神軍』を挙げていた。上の講演の中で、スーザン・ソンタグは残念ながら今回紹介できなかった映画として3本挙げているのだが、そこには小津安二郎『東京物語』も含まれている。この有名な作品には僕の好きなヴィム・ヴェンダースもオマージュを寄せているのだが、それすら僕は見ていない。こうして、縁と、興味がありながら見逃しているものが映画に限らず数え切れないくらいあることに気づくと、なんともったいなく過ごしているのだろうと思う。
うーん、見よ。
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