Nobody Knows 誰も知らない


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誰も知らない Nobody Knows
監督・脚本・編集 是枝裕和
主演 柳楽優弥

主演の柳楽優弥のカンヌでの最優秀男優賞受賞のニュースはもちろん知っていた。有楽町の大きなポスターがいつも気になっていた。

「誰も知らない」を見た。有楽町シネカノンでの上映がもう終わることを聞いたから。日本の映画を映画館で見るのはどれくらいぶりだろうか。「ナビィの恋」以来か、「千と千尋の神隠し」があったか。
優弥くんの目の力の強さは、評判で聞く通りで、聞いていた以上だった。だけど、明(優弥)以外のこどもたちがみんな強い目の力を持っていたように思う。長女の京子役の愛ちゃんの、お兄ちゃんのつらい立場を理解しながらもお母さんを渇望し、憧れるなかでの葛藤の様子もとても心に残っている。静かだけど、とても強い目だった。

終演後の是枝監督のティーチ・インで、場内から監督に「なんで監督はそんなに相手の目を直視できるのですか?」という質問があった。監督は「子供の頃、大人にそう言われなかった?僕はよく、相手の目を見すぎる、と言われる...」なんて答えていたけれど、僕が「誰も知らない」のあのアパートに住んでいたら、彼らの目をちゃんと見ることができただろうか?ぼくは彼らに気付いただろうか?

是枝監督のことはよく知らなかったのだけれど、TVのドキュメンタリー番組をいくつも手がけてきたらしい。フィクションとしての”映画”はこれが4作目。「誰の知らない」の冒頭でもこの作品がフィクションであることが強調される。

この映画の題材となった15年前の事件は、とてもいたたまれない哀しいニュースである。メディアは最初、長男を責め立て、そして長男の疑惑が晴れると母親を鬼として責め立てる。悪いのは誰か?母親に責任があるのは間違いの無いところだけれど、「誰が悪い」と言ったところで終わる話でもない。監督は15年構想を温めている中で、この話を映画にした時にただ「母親が悪い」というようにしたくなかった、と語った。
作品中で母親を演じるYOUはまさにそんなやくにピッタリだった。帰って来ない母親を信じきっているこどもたち(明だけは早くに気付く)、こどもたちと同じ目線で友達同士のような母親、長男に責められてこどものように言い返す母親...この映画を見た人の多くはYOUが演じたこの母親を責めることができないのではないか。僕にはできない。

「誰も知らない」のは何だったのか。監督が言うようにただ戸籍もない、学校にも行ってないこどもたちのことだったのか。それは見た人それぞれが勝手に考えればいいことだ。どれもあってるかも知れないし、どれも間違ってるかも知れない。ぼくはただ、「華氏911」が生まれた年に、こんな映画が日本で作られたことに感謝したい。

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