京菓子の末富三代目、山口富蔵さんがNHKの「NHK プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演されていた。
末富の和菓子については以前デザイン展に行った際に.automealでとりあげているが、「一期一会」というキーワードのもと、一回きりの茶会の席のためにそれにふさわしい、そして新鮮な驚きと遊びをこめた菓子を作っていく過程が面白かった。
源氏物語と関係のある茶会、そしてクライアントのリクエスト「夕顔」にどう答えていくかを考えていく中で、源氏物語を読み込んでいき、そして「香の図(参照:香の図 – Wikipedia)」を参照し、扇子の形の菓子の表面に記号的に取り入れるアイデアを思いつく。
そこからも実際に菓子の形にしていく上で、他の要素を付加するべきか、それともシンプルにその「図」だけでいくかを探っていくわけだが、山口さんは ひとつの方がしゃれていると思う
と最初のひらめきを弱めないことを中心に据えて組み立てていく。
茶会の席で自分の菓子が出るのをずっと心配そうに見守る。
会が終わると一人の女性が山口さんのもとへ。そしてその手には香の図をあしらった扇子。
「リファーする」というのは文章を書く人だけでなく、デザインをする際、作品を作る際にも重要で、別に何を込めているから、参照しているからと言うわけでなく、ある共通の経験であったり、記号であったりをその「一期一会」をより強いものにするための言語なのだなと思った。
作品を提供していく人、その作品の形はもちろんそれぞれだが、いつ誰に対してもどの場であってもそれが新鮮な驚きをもって受け入れられるために、アンテナを常に張って、引き出しを常に整理している、そういう人もやっぱりいる。
食べてしまったらおしまいですから
だからこそあの菓子が作れるのだなと納得した。
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