目黒区民ギャラリーへ、植田君ほかグループでの”social monologue”展を見に行ったのだけど、彼には会えず(知ってたけど)、隣の目黒美術館が面白そうな企画だったので入った。
「色の博物誌 黄 地の力&空の光」 9/8(水)まで
目黒美術館HP(http://www.mmat.jp/)から
目黒美術館が12年も前から行ってきた「色の博物誌」シリーズの最終回である。館に入ったら、こうさぎのyukinohi さんや、磯、モーゼ(本名)にばったり出くわした。
黄色の色素、顔料の素になる鉱物や、植物から、絵画、インスタレーションまで「黄色」をとにかく集めてある。それはなかなかの光景で、黄色が他より特殊な性格を持っているのを実感させられる。
人気のヴォルフガング・ライプの”rice-meal”(ケンジ・タキギャラリーのもの)もあらためて見ると、その静謐さの力を感じるのだけど、今回自分の中で面白かったのは、鉱物と土。栗田宏一の”Soil Library 1000 Yellows”は日本の各地で集めた1000種類の黄土をビンにつめたものをグラデーションに並べているのだけれど、その土の色の豊かさには圧倒された。ビンをよく見ると上に採集地のラベルが貼ってあるのだけれど、色が近いのと、土地が近いのはあまり関係ないらしい。そして、”黄鉄鉱(Pyrite FeS2) ボリビア産”という鉱物の標本に見入ってしまった。ただの標本である。だけど、立方体、8面体、五角形の12面体で出来た結晶のその造形だけで十分だった。これは一見の価値がある。
作品らしいところでは、ニルス・ウドという画家(初めて聞いた)の写真のシリーズも少し面白い。林檎、マロニエの葉、ナラの葉をグラデーション(これも!)で並べたのを撮っただけのものである。しかし、そのグラデーションはただ単に色のグラデーションになっているだけではなく、若い緑から枯れて、腐っていく茶までのグラデーションでもある。大きさも。
たまたま寄った美術館でこれだけ見られるとかなり得した気がする。思い出してみると、これまでも目黒美術館は時々面白いものをやっていた。公園の奥にある小さなちょっといい美術館。
自分は絵を描くときに黄色を使えない。と言うのは、黄色の基準となる色、純色がどうにもわからないからだ。青ならわかる。赤もわかる。黄はわからない。カドミウムイエローはレモン寄りに見える。カドミウムイエローオレンジより少し明るいくらいが”黄”の基準かなと思うのだけど、どうだろう。カドミウムオレンジは黄寄りに見える。だんだん不安になってくる。
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コメントでは、ありませんが。
偶然に色の博物誌展について知りました.
このテーマの今までになされた色の展覧会について知りたいと思いますが、何か資料は、ありますでしょうか? この展覧会のシリーズの全体像と内容に興味があります。私は、チューリッヒに住んでいる画家ですが、11月中旬に東京ですので、何か印刷した資料でもあるようでしたら、頂きに行ってもとおもっております。
私の日本での、作品発表は、1979の南画廊と、l996の現代彫刻センターだけですが、ヨーロッパ中心に発表しております。
吉川静子
吉川さん、
どうもはじめまして。目黒美術館の「色の博物誌」シリーズについては毎回カタログが制作されていますが、バックナンバーの在庫はあるかどうかわかりません。ただ、目黒美術館にはもちろん過去のカタログ、記録が残っているので閲覧することは出来ると思います。「黄色展」の期間中は普通に見ることが出来ました。
過去のものは、
色の博物誌・青―永遠なる魅力(1992)
色の博物誌・赤―神秘の謎解き(1994)
色の博物誌・白と黒―静かな光の余韻(1998)
色の博物誌・緑―豊潤な影(2001)
そして今回の
色の博物誌・黄―地の力&空の光(2004)
の全5回です。