March 7, 2007
たべるトンちゃん etc.
たべるトンちゃん
初山 滋 (著)
出版社: よるひるプロ
おねがひ が あります
ぼく に みなさん が
ゑさ を くださる やう に
くふう
して いただきたい
ビイー
とんちゃん の ためなら
ニャー
たべもの を たべられる とき が いちばん すき
な食いしん坊のトンちゃんが主人公の絵本。初版は昭和12年の12月25日(クリスマス!)。平成17年10月によるひるプロが当時の大変手間のかかったであろう豪華絵本のテイストを大切に復刻しているのがこれ。童画家・挿絵画家の初山滋がストーリーも版画も手がけている。
第二次大戦前の作品ということを考えなくても、その版画=反復(アイコン的?)なグラフィック感覚は今でも十分魅力的。
明治の末に、この世に生まれ、大正、そして昭和へ、その間、おもうぞんぶんオレの好き勝手なことを、ズーッとやりつづけて、昭和の終わる頃でしたか、自分もあの世へいきました。
あとがき・初山斗作
そんな作者が自分の好きなように手間をかけて絵を描いて、話を作って、本にしたこの「たべるトンちゃん」はただのノスタルジックなおしゃれ絵本にしてしまうにはもったいない大事な大事な作品です。
トンちゃんへの(それはこの本を手にするであろうこどもたちへの)愛情に満ちながら、どこかとぼけたユーモアと独特のペースと画面構成に読者はすっかりその虜になってしまいます。
なに を ないてるの?
ほしいもの は
じぶん で
つくらう
よく はたらいて
できた もの を
たべたら どんなに
うまい だらう
たのしみ だ ビイ
オチ は もちろん ここでは いわないよ ビイ
復刻を手がけた「よるひるプロ」はカフェ「よるのひるね-夜の午睡-」による名書古書復刊プロジェクトでトンちゃんの他にも復刊を手がけている。
デイリーポータルZの中でも好きな記事のひとつ、
の開催場所になっていたので気になっていた人もいるのでは?
ただかわいい、シュールなだけでない何か大事なものを大人も子どももこの本で感じられたら、とても素敵なことだと思います。
投稿者 Kei : March 7, 2007 10:13 PM
半年くらい前、恐らく発売されて間もないころ書店で衝撃的に出会ってしまい、即買いしました。
「トンちゃん」で、且つ「食べる」ときたら、これは他人事とは思えません。というか、むしろ私自身です。
あぁなんてすてきな絵本!
やっぱね。もちろん持ってると思った。
Posted by: Kei | March 13, 2007 7:37 PM