May 13, 2007
二人静、和菓子のネーミング etc.
名古屋の銘菓として知られる両口屋是清の「二人静」。中森明菜のシングルや花の場合は「ふたりしずか」ですが、これは「ににんしずか」と読みます。
茶花の「ふたりしずか」のイメージをもとに作ったものです。尾張地方では「ににんしずか」といわれることが多く、それを生かして菓名にしました。
写真の金魚は関係ありません。
紅白の落雁の半球を一対にして包んだこのお菓子、確かにその「フタリシズカ」という花にそっくりなのですが、さらにその花がなぜ「二人静」という名前なのかというと、能の曲目に当ります。
吉野の野辺で若菜を摘む女の前に、自分の供養を望む女が現れた。勝手神社の神職にこのことを告げる菜摘女に先程の女の霊がのりうつり、静御前の霊であると名乗った。神社の宝蔵に納められていた舞装束を身につけた菜摘女が舞い始めると、同じ装束の静の霊も現れ、昔語りなどをしつつ二人ながらに舞った
以前、「京菓子司 末富のデザイン展」についてのエントリーを書いた時にも和菓子のフォルムやネーミングについて少し調べたことがありましたが、和菓子の名前と造形に対する感覚というのはなかなか品があってデザインとしてみても優れていると思います。そして日本の文化と密接に関係しているところがとても面白い。
この紅白の端正なお菓子、もうしばらく前になりますが、ある人に「新しい門出への祝い」として花と(金魚の蝋燭と)一緒に頂きました。その際はまだその門出の先も決まっていませんでしたが、このたび無事新しい場所に落ち着くことが出来たので、こんなエントリですがご報告といたします。ありがとうございました。
投稿者 Kei : May 13, 2007 11:41 PM