March 12, 2006

かもめ食堂と過去のない男  行ってみたいお店

Ruokala
今日から公開の映画、「RUOKALA LOKKI かもめ食堂」に行ってきました。小林聡美、片桐はいり、もたいまさこというキャストでも想像のつく通り、始まってからずーっと笑わされっぱなしでした。公開初日ということもあり、着くのが遅れると立ち見になるくらい混んでましたが、映画が終わるとパンフを求めるお客でまた行列ができていました。僕ももちろんその列に並び、手に入れたのが右の鞄型パンフです。東京発ヘルシンキ行きのラベルはもちろん、隅々まで芸が細かいです(裏までチェック!)。

 夏のある日、ヘルシンキの街角に「かもめ食堂」という小さな食堂がオープンしました。その店の主は日本人の女性サチエ(小林聡美)でした。道行く人がふとふらりと入ってきて、思い思いに自由な楽しい時間を過ごしてくれる、そんな風になればいい、そう思ったサチエは献立もシンプルで美味しいものをと考え、かもめ食堂のメインメニューはおにぎりになりました。

さて、ネタバレしないように気をつけてちょっと感想などをできるだけ.automealらしく書いてみます。


過去のない男まずやっぱり女優陣の存在感がすごい。特にもたいまさこは水を得た魚のよう。気持ちのいい笑顔にこっちまで幸せになります。そしてフィンランドということでカウリスマキ監督にリスペクトを示しての起用と思われる「過去のない男マルック・ペルトラ。登場の際の歩き方でカウリスマキファンはもう満足です。ヘルシンキで食堂、マルック・ペルトラと言うと同じくカウリスマキの「浮き雲」も連想しますが、終わったあとの何とも言えない幸福な空気はこのかもめ食堂も「浮き雲」に勝るとも劣りません。

「過去のない男」では主人公が妻と別れたあとの帰りの電車の中1人、寿司と日本酒を口にするシーンが印象的でしたが、このかもめ食堂で出てくるのはコーヒーにシナモンロール、おにぎりにとんかつ、しょうが焼きという何でもないものばかり。そしてそのどれもが特におしゃれに出されるわけでもなく、コーヒーもフィルターで淹れる、ごく普通の日本の食卓。
しかし、そこはフィンランドなのでご飯を炊くのも、煮物を煮るのも、とんかつを盛るのもiittala - イッタラ。イッタラ製品はもともと長く使えるシンプルでナチュラルなものを考えられているので、そう意味ではかもめ食堂にぴったりなのかも知れません。

.automealの活動の中心となるパーティやレセプションという場は言わば「ハレ」であって、そこではどこか非日常的な演出とちょっとした「ズラシ」をしているわけですが、それが「ハレ」たりえるのは、かもめ食堂のような「ケ」があってこそなのです。主人公サチエが大事にしているのは「シンプルで普通」なことでした。サチエのたたずまいと立ち振る舞いが「ちょうど、すごくいい」のはそんな彼女の強さに裏付けられています。

「過去のない男」で使用済のティー・バッグを持ち歩いていた主人公(マルック・ペルトラ)がなぜあの列車の中で寿司を食べたのでしょうか。

劇中でミドリ(片桐はいり)とマサコ(もたいまさこ)が持っていたフィンランド人のイメージと、実際のフィンランドに暮らす彼らとのギャップを感じるシーンがあります。それは彼女達が観光という非日常、ニュースという外側の視点から、食堂、市場、「強い酒を飲みたい気分」という日常の中に自然に踏み込んだから。コミュニケーションはそこからです。

内容は実際に見てもらう他ないので、これ以上書けませんが、この映画が「スロー・ライフ」や「ロハス」なんてマーケティング用語に取り込まれてしまわないことを静かに望みます。

では、おまじないをしてコーヒーを淹れようかな。

投稿者 Kei : March 12, 2006 12:43 AM

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