December 30, 2006

ベジタリアンとIQ  Clockwork Orange / news

イギリスBBCのニュースより(via. 旬のイギリス 高IQの子供は、ベジタリアンの大人になりやすい)。

A Southampton University team found those who were vegetarian by 30 had recorded five IQ points more on average at the age of 10.

Researchers said it could explain why people with higher IQ were healthier as a vegetarian diet was linked to lower heart disease and obesity rates.

BBC NEWS | Health | High IQ link to being vegetarian

英サザンプトン大の研究チームの調査によると、ベジタリアンの多くは10才のときに高いIQを記録していたという。そしてその結果により、高いIQを持つ者は心臓病や肥満にかかりにくいという関連を説明できるという。

元記事はまだ続きがありますので、興味があったらぜひ読んでみてください。

ベジタリアンでいる人というのは、それぞれ宗教的、思想的だったり健康のためだったりいろいろな理由があるもので、さらにその菜食の度合いも様々なのでまとめて括ってしまうのは危険です。ここでも簡単に概要を知るにはWikipediaからひろってみます。

アメリカ栄養士学会の定義によると『ベジタリアンとは、動物性食品を避け、穀物、豆類、種実類、野菜、果物を中心に摂る人』である。中には肉類は摂らずに乳製品を摂ったり、魚類は食べるベジタリアンもいる。世界的なベジタリアンの増加に伴い詳細に名称の定義がなされている(#種類)。

国によってはベジタリアンはポピュラーな選択肢である。欧州ではイギリスが最も多く、2000年の調査では国民の9%がベジタリアンである。アジアではインドが60%。台湾が10%である。アメリカ大陸では、2000年の調査では、合衆国の成人の約2.5%が肉類や魚類を一切摂らず、ベジタリアンとしての食生活を維持している。同年の調査でカナダでは成人の約4%がベジタリアンである。

ベジタリアニズム - Wikipedia

こちらの記事もなかなか充実しているので、一度目を通してみてください。

ここから先は自分の経験と海外などで一緒に過ごしたことのある友人たちのことから考えてみます。


家庭や地域、国的な環境などによる先天的なベジタリアンにはあまり会ったことがありません。多くは大学生になってから、留学してから、あるいはそうやって始めた彼女の影響に由るものなどでした。動物性のものにたいしての制限もある程度ゆったりしたもので、卵や乳製品については積極的ではないものの、摂ってしまったらそれはそれで構わないといった程度のものでした。彼らと会って一緒に生活したのが彼らのホームでない、羽田やサラエボといったある意味特殊な環境と地域だったということもあるでしょう。また彼らはイギリスでも有数の高い学費を誇るAAスクール(建築)に留学している中国人、ハーバードGSDに通う建築の大学院生に、ドイツに留学中のオランダ人、オランダで美術大学に通いながら新婚生活を送るアメリカ人といった、平均よりはずっと恵まれている環境にいました。

ベジタリアンとはまた異なりますが、サラエボで出会った多くのムスリム(イスラム教徒)の友人たちは、アルコールこそ水のように飲んでいましたが、豚肉を食べないということに対してはずっと厳格でした。というより、サラエボのスーパーでまず豚肉が全くといっていいほど手に入りませんでしたし、本当に貧しい彼らが豚肉以外のものでさえ、口にしているのをあまり見たことがないくらいです。一ヶ月ほど毎日のように一緒にいたのにです。その横で自分たち日本人は現地の高級レストランでいい物を食べていたのですが... そのサラエボの彼らを今年の二月に展覧会のために日本に招きましたが、日本に少しずつ慣れるうちに吉野家に良く通っていたというのは、日本だけの秘密です。

本当の意味で「ベジタリアニズム」でない人にとって、「ベジタリアン」でいるというのはなかなか大変なことです。外食の場合、ベジタリアンを通そうとすると大抵の場合普通より予算はかかります。友人たちと一緒の席で、注文するものがなかったり、周りがとても気を使ってくれることにこっちが疲れてしまうことも多々あります。

僕は今まで経験としてベジタリアンらしきことをしていたことが2回(それぞれ1年ほど)あります。最初は乳製品、卵、魚はOKのフィッシュ・ベジタリアンで中学生のとき、2回目は動物性のものはまったく摂らないもので、大学生のときです。どちらも大した理由もなく、経験として興味があったというだけのノンポリ・ベジタリアンでした。2回目は身につける動物製品などにはこだわらないものの、食としての動物性のものには厳格で、エキスやダシのようなもの、調味料まで徹底していました。そのときは外食ではもう食べられるものがほとんどありませんでした。1年で5~8キロ程度といったゆっくりしたペースのダイエット効果こそありましたが、それよりもいくらか期待していたより高い精神性を獲得する(=精進する)ために、菜食を主体とした食事をとるに関しては、成果があったのかはいまだに不明です。中学生という、身体の成長にとても大事な時分にそういう制限を自ら課していたことに対しての後悔はありますが、今となっては自分でも経験したことによって、ベジタリアンといった存在をいろんな意味でオープンに捉えられるようになったことは、自分の「」観における重要な財産になっています。

We've always known that vegetarianism is an intelligent, compassionate choice benefiting animals, people and the environment.

Liz O'Neill, of The Vegetarian Society

自分と違う選択をしている人に対して、どうこう言うつもりはまったく無いのですが、こういう自意識だけは疑問に感じざるをえません。動物、人間、環境にとっての知的で同情的な選択。その中でこぼれ落ちてしまっているものに気づかないことの方がずっと怖いと思うのです。

完全菜食では、人体に欠かせない鉄分、亜鉛、オメガ-3脂肪酸、ビタミンB12などが不足しがちである。現代的なベジタリアンはこのことを積極的に認めており、彼らの多くは、意識して食事を調整している(完全菜食の場合、人工的なサプリメントや添加食品で摂取しなければならない栄養素もある)。

ベジタリアニズム - Wikipedia

そのサプリメントと添加物はどうやって作られているのでしょう?

またライフスタイルとスノッブな態度表明にしか過ぎないベジタリアンでは「食」の環境的な問題を何も解決できないばかりか、別の格差を生むだけです。

久しぶりに長々と書いてきましたが、ベジタリアンと高IQに因果関係あるのかどうか、それは「卵と鶏はどっちが先か(It is like the chicken and the egg.)」というのでもなくて、ましてやベジタリアン自体がどうと言うのでもなくて、もっと別なところに問題意識を持っていたいというのが本当のところです。

投稿者 Kei : December 30, 2006 11:38 AM

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