April 17, 2007
デカダンスの卵と世界 review
代官山と渋谷マークシティに店舗のある、チョコレート専門店「デカダンス ドュ ショコラ」のイースター・エッグ。キリストの復活を祝う行事、復活祭にちなんだ季節商品だが、どうも大きなヒビの入った質感が昔あったおもちゃ「タマゴラス(特にワニ)」をイメージしてしまう。
卵が動物に変化するという緩ーいトランスフォーマー的なおもちゃで、それまでの「卵からはかわいい動物の赤ちゃんが生まれる」「卵には希望が詰っている」というセオリーに反してコワモテの動物に変化するゴツイ卵のおもちゃを思い出してしまった(個人的なことだけれど、何故うちにバンダイの製品があったのか謎ではある)。
さて、デカダンスの卵から生まれるのは何かというと、カラメリゼされたアーモンドにヘーゼルナッツ。スイート過ぎず、チョコエッグとも違う大人の卵でした。季節ものなので、もうすぐ終了となっていまいますのでお近くの方はどうぞ。(確か明日までだったような気がします。遅いか... )
有名なショコラティエを前面に打ち出し、ゴージャスでシックなイメージを売りにしたブランドの席巻するチョコレート業界の中、「デカダンス ドュ ショコラ」というブランドはその流れに沿っているようでまた、少し違った印象を受けます。もちろんデカダンス ドュ ショコラのメインシェフである「ステファン・ヴュー」もピエール・エルメの弟子であった紛れもないセレブ・ショコラティエなのですが、エルメの日本進出メンバーから資生堂パーラーの指揮、そして日本オリジナルブランドのデカダンス ドュ ショコラ(Global-Dining グループ)と日本をメインの舞台としているシェフであったりします。
さて、こちらは通常商品のプラリネ6個セット。デカダンな書籍のページを開けると宝石のようなチョコが入っています。
かつて貪るように読んだ寺山修司の「ポケットに名言を」という本の中に見つけた、これまた貪るように読んだドストエフスキー「地下室の手記」の
世界が破滅するのと、このぼくが茶を飲めなくなるのと、どっちを取るかって?聞かしてやろうか、世界なんか破滅したって、ぼくがいつも茶を飲めれば、それでいいのさ。
「地下室の手記」ドストエフスキー 江川 卓訳
というくだりを思い出したりしながら、あの頃はよく読書をしたなぁ、もう「カラマーゾフの兄弟」や「罪と罰」なんてとても読む体力ないなとか、世界が破滅するのは困るけれど、チョコレートとお酒というのは悪くないなぁなんて少しもデカダンでない気分でおいしく頂きました。
デカダンな方もデカダンでない方も、おいしいチョコレートと世界を天秤にかけながら紅茶を飲むというのはいかがでしょうか?
投稿者 Kei : April 17, 2007 7:36 PM