April 20, 2006
ウィグル人の羊肉串 -快速食物の旅 04- 食紀行
夕方になると上海の至る所で羊肉の焼ける香ばしいにおいがする。ウィグル人の羊肉串(ヤンロウチュアン)の屋台である。
ウィグル族は"蓋"みたいな回教徒の帽子をかぶり、あきらかにアジア系とは異なる風貌をしている中国の少数民族である。われわれのイメージするヨーロッパでも、アジアでもない顔。その顔を見かけると、どうしても目が離せなくなる。チャイナネット 中国の少数民族によれば、
・主に新疆ウイグル自治区に分布し、天山以南の各オアシスに住んでいる人が多いが、湖南省桃源県、常徳県などにも住んでいる。
・ウイグル語はアルタイの語系、突厥語派に属する。中心、ホータン、羅布の3種の方言がある。 アラビア文字を表音文字として使っている。
・大多数のウイグル族の人たちはイスラム教を信仰している。
彼らを見かけるたび、羊肉串の香りがするたびに、私の頭の中にはシルクロードがヨーロッパに向かってのびていく。ケバブやチェバピが、頭の中でチラチラする。
新疆ウイグル自治区から出てきたウイグル人は、まず上海に根を下ろすために食べ物屋を開くらしい。私が偶然見つけた羊肉屋は、店構えを持った専門店で、片隅で平たいパンも売っていた。次から次へとお客さんは現れ、とぎれることがない。たしかに炭火で焼かれたそれは、ジューシーで、スパイシーで、なんともやみつきになる味である。
上海の地下鉄構内で、ちょっと派手なセーターに、茶色いぶかぶかのジャケットをはおった20代くらいのウィグル人二人組を見かけた。ものすごくはしゃいでおり、粋がっているようにも見え、なんだか目が離せなくなった。
ホームに減速して入ってきた電車に、いち早く乗り込もうと走って追いかける彼らは、もしかして地方から出てきたばかりだったのかもしれない。まるで汽車に乗り込もうとするような、素朴な振る舞いをする彼らも、きっとそのうち羊肉を焼くのかもしれない。何本も何本も焼いていくうちに、都会的な振る舞いをするようになるのだろう。
投稿者 Haruna : April 20, 2006 3:16 PM