海外や国内を旅する中で出会った面白い食べ物、習慣についてのレポート。

May 12, 2006

あの人のボナペティ

ロラン・バルトの天ぷら、イタリア未来派のお国尽くしディナー、アンディ・ウォーホルのキャンベルスープ、谷崎潤一郎の柿の葉鮨、澁澤達彦の反対日の丸パン、マリー・アントワネットのお菓子、小津安二郎のカレーすき焼き...

上は雑誌「芸術新潮」で2002年から2003年まで「あの人のボナペティ」として連載されていた、食べものから芸術家像を再発見しようという実験レポートのタイトルの一部。それぞれのメニューを料理や文学の研究家の協力のもとに検証、再現して見せたのは映画批評家の四方田犬彦。写真とともになかなか面白い連載だった。

ラブレーの子供たちなんて言っているが、僕はこの連載を当時読んでいたわけではない。現代美術をあまり扱わず、どちらかというと「周辺」の記事の方が多い芸術新潮は自分には「趣味が良すぎ」てあまり目に入ってこなかった。(ただの思い込みです)それがこの連載をたまたま見つけてからこの時期のバックナンバーを探してはみたが、なかなか全部は見つからない。

と思っていたら、多少の修正といくつかの断片を追加して『ラブレーの子供たち』というタイトルで昨年書籍化されていました。写真がいくつか削られているのは残念だが。

食べものに興味があって、冒頭に挙げた作家たちに興味がある人には文句なしにお薦め。是非読んでみて欲しい。食べものを考えることはその人を考えることなんだなとあらためて実感する。

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Posted by Kei at 1:08 PM | トラックバック

April 20, 2006

ウィグル人の羊肉串 -快速食物の旅 04-

shishi夕方になると上海の至る所で羊肉の焼ける香ばしいにおいがする。ウィグル人の羊肉串(ヤンロウチュアン)の屋台である。
ウィグル族は"蓋"みたいな回教徒の帽子をかぶり、あきらかにアジア系とは異なる風貌をしている中国の少数民族である。われわれのイメージするヨーロッパでも、アジアでもない顔。その顔を見かけると、どうしても目が離せなくなる。チャイナネット 中国の少数民族によれば、

・主に新疆ウイグル自治区に分布し、天山以南の各オアシスに住んでいる人が多いが、湖南省桃源県、常徳県などにも住んでいる。 
・ウイグル語はアルタイの語系、突厥語派に属する。中心、ホータン、羅布の3種の方言がある。 アラビア文字を表音文字として使っている。 
・大多数のウイグル族の人たちはイスラム教を信仰している。

彼らを見かけるたび、羊肉串の香りがするたびに、私の頭の中にはシルクロードがヨーロッパに向かってのびていく。ケバブやチェバピが、頭の中でチラチラする。

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Posted by Haruna at 3:16 PM | トラックバック

April 16, 2006

行列の店「南翔饅頭店」 -快速食物の旅 03-

syoronpo上海といえば小籠包、小籠包といえばこの南翔饅頭店なのです。
南翔饅頭店といえば、上海きっての観光地「豫園」の中にある、常に行列が絶えない人気の店。1時間近く並ぶのが通例なので、もはや快速食物ではないのですが、そのスタイルは蒸し上がった南翔小籠に黒酢をたっぷりかけて、立ち食いするイメージ。店内にはテーブル席もありますが、今回は行列に並んでみました。

誰が並んでいるのかといえば中国各地からの観光客で、いろいろな顔があって見ていて面白い。1時間近く並んでやっと手に入れた南翔小籠を、子供も年寄りも関係なくガーッと、それこそ水木しげるの漫画ばりに食べては去っていく様子が、なんとも食欲をそそられます。中国人の食欲に、なかなかどうして圧倒され、「どれ、並んでみるか!」という気持ちに自然と傾きます。

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Posted by Haruna at 11:47 AM | トラックバック

April 15, 2006

上海の朝ごはん -快速食物の旅 02-

shan18.jpg上海は朝も超特急です。
東京のように近隣から電車やバスで通勤してくる人が多いため、早足で歩く人々は朝食もささっとすばやく済ませるスタイルが一般的のよう。なかでもポピュラーなのが煎餅(!!)とよばれるクレープのような一品です。

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Posted by Haruna at 2:50 AM | トラックバック

April 14, 2006

上海 快速食物の旅 01

時速430キロを出すリニアモーターカー(磁浮列車)が走っている街、上海。近未来なビルとパジャマを着た老人が共存しているなんとも不思議な街だけれど、そこには発展と昔ながらの食べものが「スピード」というキーワードでぴたりと共存しているように思えます。

04.jpg日本では煮つめたお菓子の状態ぐらいでしかなかなか見ることのできないサンザシですが、こちらでは生のまま串に刺して、べっこう飴でコーティングしたものが屋台で売られています。
見かけはちいさなザクロですが、中はすかすかしたやわらかいリンゴみたいな感じ... 
しかしながら、これが酸っぱくて風味豊かで、カリカリした外の飴と絶妙なのです!

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Posted by Haruna at 12:37 AM | トラックバック
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